東京日莫は1953年(昭和28年)創業の 毛糸手袋輸出からスタートしたニットメーカー。
激動する時代の流れの中で 確かな先見性と豊かな創造性でもの作りに力を注ぎ、事業を発展させて来ました。
近年では最新鋭の機械設備やオリジナリティの工程技術で 独創性溢れた製品を発信しています。
――会社概要について
中金さん 東京日莫株式会社は、昭和28年に創業、今年で72年です。私は4代目の代表をつとめております。
創業は東京の日本橋でした。
当時は手袋の海外輸出からスタートしたニットメーカーです。
創業以後、東京・名古屋・大阪へとわかれていきまして、東京で独立したのがこの「東京日莫株式会社」です。
その後、先代(3代目)が昭和37年にここ藤岡市鬼石に工場を建設しました。
当時、群馬県鬼石町誘致工場第1号だったとのことです。
その頃からそれまでの手袋生産に加え、輸出向けセーターの製造をはじめました。
のちには足利にも工場をつくり、高級婦人服製造へとシフトしていき、現在にいたります。
技術力に高い評価をいただき、おかげさまで有名ブランドなどへのお引き合いをいただいております。
――ニットへのこだわりは。
中金さん ニットは、糸から柄・形が作れるので可能性が高いところですね。
「莫」というのはメリヤスの当て字「莫大小」からとっているんです。
創業時の主力商品だった手袋は、工員さんによる手編みでした。
のちにそれが機械編みになり、パーツを作って縫い合わせて・・という時代を経て、現代では3Dで立体になった状態で完成するようになりました。
普通にパーツを組み立てるのではなくて、逆から編んだりもできるようになり、大きく進化してきました。カーディガンでもワンピースでも、パーツ不要でニット製品1着が完成します。
3Dでの製造は、20年くらいまえから主流になってきましたね。
――素材の変遷はありますか。
中金さん 業界全体で取り組んでいるのは、リサイクル素材。ペットボトルを再生したポリエステル繊維にはじまり、開発は進んでいますね。
環境に配慮した素材、というのもトレンドです。オーガニック素材なども、天然素材への関心の高まりと共に取扱いが増えました。
天然素材といえば、我が社は長年、カシミア素材の取扱いに長けておりまして、コレクションブランドからはその点が評価されております。
――ニット業界のこれからについて
中金さん 温暖化が進んでいることもあって、防寒としてニットを着用していただく時期が短くなっているのは事実です。
ただ、素材や製造方法の工夫次第で、高温でも心地よく着られるニットを開発することが可能ですので、今後はそちらの点で将来の展望が見えますね。
――ニットというと毛玉に悩まされがちです。
中金さん 糸の段階で充分なケアと処理をしてあるかが大事かと思います。
そうした前処理に時間と手間がかかっていると、ニット素材として完成した際の仕上がりが全然違いますね。
――ニットの可能性について
中金さん ニット=ファッション、というのが主流でしたが、今後は「リカバリーウエア」などにも注目が集まっています。
身体に作用する鉱石を吹きかけた糸でニット素材をつくり、その素材をつかってスポーツウエアやパジャマ、宇宙関連の製品を作るというアイテム展開も。
そういったより実用性の高い製品づくりにも、我が社の技術を昇華させていきたいですね。
様々な視点からニット技術をとらえれば、これまで思いもつかなかったようなものが現れるかもしれません。
その点においても、それぞれの時代にそって、今求められているものを察知していくのが大事ですね。
先の代表も言っていましたが「われわれの業界は、先見性だ」と。
先を読む力は大事ですね。
――商品を通じて皆さんにお伝えしたいことはありますでしょうか
中金さん 四季のある日本で暮らしているので、ぜひ四季に応じ、良いものを楽しく長く身に付けて欲しいなと思います。
身に付けることで気分が良くなったり、嬉しくなったり、着心地が良いことで日々の生活が快適になったり…我々の作る商品を通して、皆様にそういった経験を届けられたら嬉しいです。
――東京日莫様と、ここ藤岡市鬼石のエピソードなどあれば。
中金さん 昭和37年、この工場の落成式の時に、地域の皆様にカシミア素材のベストをお配りしたそうです。
大変好評で、「あの時いただいたベストは良かった」と後々までお喜びの声が届いたのだとか。
後日鬼石の体育館でファッションショーも開催したそうで、盛況だったとのことです。
我々の商品が、地域の文化振興にも少なからず影響を与えることができたと思うと嬉しいですね。
会社入り口にディスプレイされた「カシミア」
――今後の展開や読者のみなさまにお伝えしたいことは。
中金さん 我々は直接エンドユーザーにご感想をいただける機会はあまりないので、自分たちのブランド展開などができれば、もっと東京日莫の技術と品質の高さを知ってもらえると嬉しいですね。自分のところでデザインして、作って、販売して・・ができたらなと。
特に地域と絡んでできると良いですね。コラボレーションなんかも楽しいですね。
また、ニットではない枠にも挑戦したいなと思っています。
手編みの手袋の取扱いがセーターになり、それが3Dになったと思えば、まだまだ展開できる可能性はあると思うんですね。
長年培った設備・技術を用いて、「自分たちで作る・売る、その喜びを還元する」というのは将来の展望です。
東京日莫株式会社
群馬県藤岡市鬼石344−3
Tel:0274-52-2661
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